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メジャーではなくインディーで活躍することにこだわるAK-69は、通常ならば逆境とも言えるその状況を逆手にとって、〈インディーだからこそできること〉〈インディーだからこそやる意味のあること〉を追求するヒップホップ・アーティストである。
KALASSY NIKOFF名義でリリースしたアルバム『PAINT THE WORLD』をソロ活動の皮切りに、『REDSTA -THE RAP ATTACKER-』『REDSTA -THE MELODIZM-』で評価を確立。ベスト盤『BEST OF REDSTA』や複数の映像作品などを経て、2008年に『TRIUMPHANT RETURN -REDSTA IZ BACK-』を発表。地方都市を拠点としたインディーズ・アーティストであるにも関わらず、その翌年には倖田來未のアルバムへとゲスト参加し、より広い層に対して臆せずストリート・ヒップホップを披露した。同年9月にドロップした『THE CARTEL FROM STREETS』では、自身3度目となるオリコン・インディーズ・チャート1位、同総合チャートでもウィークリー10位にランクインさせる快挙を達成、音楽業界全体に衝撃を与えると、同作の発売を記念したツアー・ファイナルではわずか15分でチケットを完売させ、ZEPP NAGOYAに2,000人超を動員。特殊効果などを駆使したエンターテインメント性の高いこのショウを映像作品化して迎えた2010年も、彼の勢いは止まらない。実力派R&BシンガーAIのデビュー10周年シングル「Still...」をはじめ数多の客演に招かれ、その名をさらに轟かせると同時に、各方面から大きな注目を浴びた最新アルバム『THE RED MAGIC』では、オリコン総合チャート初登場3位(ウィークリー)を記録。また、先行シングル「PUBLIC ENEMY」のミュージック・ヴィデオもアワード各賞にノミネートされ、最終的には『SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS 2011 "BEST HIPHOP VIDEO"』/『流派 PV AWARD 2010』を受賞するなど、様々な角度からその存在の大きさをヒップホップ・シーンの内外へと見せ付けた。2011年9月3日にはみずからのアーティスト・ヴァリューを決定付けるべく、同作のリリース・ツアー・ファイナルを日本ガイシホールで開催。彼が目標とするUSヒップホップ・シーンに勝るとも劣らぬビッグ・スケールとなった同公演の実現は、国内シーンの最前線を駆けるAKですらリスクを伴ったが、成功の向こう側にあるさらなる進化を信じた彼は失敗を恐れず果敢に挑戦してみせた。「いい音源といいライヴ無くして栄光は無い」というAKの信条通り、現在進行形で全国を魅了する最新作『THE RED MAGIC』が持つ輝きと高次元のクオリティも相俟った結果、この日は日本中から約10,000人もの観客が集い、同ファイナルを見事に成功へと導いたのだった。
ここまで着実に、そして全速力でステップ・アップしてきたAKだが、彼は決して現状に満足などしていないだろうし、ここまで彼がこなしてきたハード・ワークを見ていると、AK-69の目指す先にあるものに期待をせざるを得ないのだ。黒人をルーツにしたヒップホップ・ミュージックが、その背景の通り〈持たざる者の音楽〉であるならば、〈インディー〉〈地方都市〉など、様々なハンデを(自ら)背負いながらもそれを跳ねのけようとするAK-69の姿勢こそ、正真正銘のヒップホップなのである。
written by 吉橋 和宏
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